導入部分
HUNTER×HUNTERの物語を根底から変えた重要な章、それが「天空闘技場編」です。ゴンとキルアが念能力(ネン)という概念に初めて触れ、HUNTER×HUNTERの世界観が一気に広がる転換点となりました。この記事では、天空闘技場編の魅力を、ネタバレありで徹底的に語ります。ウイング師匠との出会い、念能力の修行、そしてゴンとヒソカの再戦。この編を読まなければ、HUNTER×HUNTERの本当の面白さは分かりません。
✓ この記事でわかること
- 念能力(ネン)の基礎から6系統まで完全理解
- ウイング師匠との出会いと修行の全貌
- ゴンとキルアの才能の違いと成長過程
- ゴンVSヒソカの決着と約束の行方
- 後の展開に繋がる重要な伏線
📖 読了時間:約10分 | おすすめ度:★★★★★(HUNTER×HUNTERの真髄がここから始まる)
基本情報
【天空闘技場編 基本情報】
- 収録:単行本6巻〜7巻(第44話〜第63話)
- 主要キャラ:ゴン、キルア、ウイング、ズシ、ヒソカ、ギド、リールベルト、サダソ
- テーマ:念能力の基礎、才能と努力、師弟関係、約束を果たすこと
- 舞台:天空闘技場(全251階建ての格闘技場)
あらすじ
※ここから先、天空闘技場編のネタバレを含みます
ゾルディック家からキルアを連れ戻したゴンは、クラピカ、レオリオと別れて、キルアと二人で旅を続けることに。お金を稼ぐため、そして強くなるために向かったのが「天空闘技場」という巨大な格闘技場でした。
勝ち上がるごとに賞金が増え、200階以上に到達すれば巨額の賞金が手に入る。ゴンとキルアは持ち前の実力で順調に勝ち進み、あっという間に200階に到達します。
しかし、200階からは様子が一変。200階フロアマスターたちは「念能力(ネン)」という特殊な力を使っており、何も知らないゴンとキルアは歯が立ちません。そこで出会ったのが、心源流拳法の師範代ウイングと弟子のズシでした。
ウイングから念能力の基礎を学び始めるゴンとキルア。「纏(テン)」「絶(ゼツ)」「練(レン)」「発(ハツ)」という念の四大行の修行を経て、二人は急速に成長していきます。
そして迎えるゴンの最終目標——ハンター試験以来の約束、ヒソカとの再戦。ゴンは成長した自分の力で、ヒソカにパンチを返すことができるのか…?
この編の見どころ
💫 見どころ1:念能力システムの登場
天空闘技場編の最大の魅力は、間違いなく念能力(ネン)システムの登場です。
それまでのHUNTER×HUNTERは、身体能力や頭脳戦が中心でしたが、この編から「念」という超能力的な要素が加わり、作品の幅が一気に広がりました。
念能力の四大行(基礎技術):
- 纏(テン):オーラを身体にまとう基礎技術
- 絶(ゼツ):オーラを完全に絶つ技術
- 練(レン):通常以上のオーラを生み出す技術
- 発(ハツ):オーラを自在に操る応用技術
応用技術:
- 凝(ギョウ):オーラを一点に集中させる技術
- 周(シュウ):オーラを物体に纏わせる技術
さらに、念能力者は6つの系統(強化系、変化系、放出系、操作系、具現化系、特質系)のいずれかに分類され、それぞれ得意な能力が異なります。
💡 ここがすごい! この設定の緻密さが、後のヨークシンシティ編、グリードアイランド編、キメラアント編での複雑な能力バトルの基礎となります。念能力を理解しないと、後の面白さは半減します!
👨🏫 見どころ2:ウイング師匠との出会い
ウイングは、ゴンとキルアにとって初めての「師匠」です。
心源流拳法の師範代であり、ビスケの弟子でもあるウイングは、念能力の基礎を丁寧に教えてくれます。厳しいながらも優しく、二人の才能を見抜いて適切な指導をする理想的な師匠像です。
特に印象的なのが、最初にゴンとキルアに「嘘の念能力説明」をするシーン。本当の念能力の恐ろしさを知らせないことで、二人を危険から守ろうとするウイングの配慮が見えます。
しかし、ゴンが無謀にもヒソカとの対戦を申し込んでしまったことで、ウイングは本当の念能力の修行を開始せざるを得なくなります。この決断の重さが、念能力の危険性を物語っています。
⭐ ここが感動! 弟子を守るために嘘をつき、それでも必要とあれば真実を教える。ウイングの優しさと厳しさのバランスが素晴らしい。
⚡ 見どころ3:ゴンとキルアの才能の違い
この編では、ゴンとキルアの才能の質の違いが明確に描かれます。
🎯 ゴンの才能:
- 強化系の念能力者
- 集中力と直感力に優れる
- 一つのことに没頭するタイプ
- 纏(テン)の習得に時間がかかった
💎 キルアの才能:
- 変化系の念能力者
- 理解力と応用力に優れる
- 器用で何でもこなすタイプ
- 纏(テン)を一瞬で習得
キルアの方が飲み込みが早く、ウイングも驚くほどの天才性を見せます。しかしゴンも、一度理解すれば急速に成長する才能を持っています。この二人の対照的な成長過程が、見ていて非常に面白いです。
❓ あなたに質問です: あなたはゴンタイプ?キルアタイプ?才能の違いを知ることで、自分の成長にもヒントが得られるはず。
💪 見どころ4:ズシの存在
ズシは、ゴンとキルアより先にウイングの弟子になった少年です。
念能力の才能では二人に劣りますが、真面目で努力家。ゴンとキルアが数週間で習得することを、ズシは何年もかけて習得してきました。
しかし、ズシの存在は「才能がすべてではない」というメッセージを伝えています。才能に恵まれたゴンとキルアと、努力で積み上げてきたズシ。この対比が、後の物語でも重要なテーマとなります。
ズシの真摯な姿勢と礼儀正しさは、見ていて応援したくなります。「押忍!」という口癖も可愛らしく、癒しキャラとしても人気です。
💡 ウイングの名言:「例えば、紙きれを刃と化し人を傷つけることも、逆に自らの体を鋼につつみ守ることも可能」── 念能力の可能性を示す言葉が、二人の世界を変えました。
🔥 見どころ5:ゴンとヒソカの再戦
この編のクライマックスは、ゴンとヒソカの戦いです。
ハンター試験編でゴンはヒソカにプレートを返され、「返しに来い」と言われていました。その約束を果たすため、ゴンは念能力を習得してヒソカに挑みます。
結果としてゴンは負けますが、ヒソカの顔面に一発のパンチを叩き込むことに成功。これでプレートを返したとみなされ、ゴンは約束を果たします。
この戦いの見どころは、ゴンの成長とヒソカの圧倒的な実力差です。念能力を習得したゴンでも、ヒソカには全く歯が立たない。しかし、ヒソカはゴンの成長を楽しみにしており、「次はもっと楽しめそうだ」と期待を込めます。
😱 衝撃の真実: 念能力を習得したゴンでも、ヒソカには遠く及ばない。この戦いで、ヒソカの強さの底知れなさが明らかになります。
印象に残った名シーン・名言
ウイングの「君を殺す」
ゴンが無謀にもヒソカに挑もうとした時、ウイングが放った衝撃の一言。本当の念能力を教える前に、その危険性を理解させるための脅しでした。この一言が、念能力の恐ろしさを端的に示しています。
キルアの「俺 天才かも」
纏(テン)を一瞬で習得したキルアが、自信満々に言うセリフ。キルアの天才性を示すと同時に、彼の少年らしい可愛さも垣間見えます。
ゴンの「ヒソカに返しに行かなきゃ」
プレートを返すという約束に固執するゴン。理屈ではなく、約束を守ることに全力を注ぐ純粋さが表れています。この一途さがゴンの魅力です。
ウイングの「例えば、紙きれを刃と化し人を傷つけることも、逆に自らの体を鋼につつみ守ることも可能」
念能力の可能性を説明するウイングの言葉。紙切れすら武器に変えられる、体を鋼のように硬くできる。この説明が、念能力の無限の可能性を示し、ゴンとキルアの世界を一変させました。
ヒソカの「その一撃はたしかに受け取ったよ」
ゴンのパンチを受けて、ヒソカが認める言葉。ゴンの成長を喜びながらも、「次はもっと楽しめる」と期待する。ヒソカの歪んだ愛情が感じられます。
ゴンの「これで返したよ ヒソカ」
ヒソカにパンチを返した後、満足そうに言うゴンの言葉。約束を果たした達成感が伝わってきます。ゴンにとって、勝ち負けよりも「約束を守る」ことが重要だったのです。
キャラクター分析
🎯 ゴン=フリークス:約束を守る純粋さ
ゴンはこの編で、念能力を習得し、大きく成長します。
しかし、彼の本質は変わりません。**ヒソカにプレートを返すという約束を守るため、どんなに危険でも挑戦する。**勝ち負けではなく、「約束を守る」ことが目的。この純粋さが、ゴンの最大の魅力です。
念能力の修行では、最初は苦戦するものの、一度コツを掴むと急速に成長します。これはゴンの「一点集中型の才能」を表しています。一つのことに没頭すると、驚異的な速さで習得する。この特性は、後のグリードアイランド編やキメラアント編でも発揮されます。
💡 性格診断: 強化系の性質そのもの。単純で一途、嘘をつけない真っ直ぐな心が、強化系能力者の特徴です。
⚡ キルア=ゾルディック:天才の苦悩
キルアはこの編で、自分の「天才性」を再確認します。
**纏(テン)を一瞬で習得し、念の基礎をあっという間にマスター。**ウイングも驚くほどの才能を見せます。しかし、この「何でもできてしまう」ことが、後にキルアの悩みになります。
キルアは器用すぎるがゆえに、「自分が本当にやりたいこと」が分からない。ゴンのように一途に目標に向かうことができない。この葛藤は、後のキメラアント編でさらに深まります。
しかし、この編ではまだその兆候は薄く、キルアはゴンと一緒に修行を楽しんでいます。二人の友情がさらに深まる、平和な時期でもあります。
💎 才能の呪い: 変化系の性質=気まぐれで嘘つき。キルアの器用さは、時に自分自身を縛る呪縛にもなります。
👨🏫 ウイング:理想の師匠
ウイングは、HUNTER×HUNTERに登場する師匠キャラの中でも、最も「まとも」で「優しい」師匠です。
ビスケやネテロ会長のようなスパルタ教育ではなく、丁寧に基礎から教える。危険を避けるために嘘の説明をするなど、弟子を守ろうとする配慮もあります。
しかし、必要とあれば厳しく指導する。ゴンとキルアが無謀な行動を取ろうとすると、強制的に念能力の修行を開始させる決断力もあります。
優しさと厳しさのバランスが取れた、理想的な師匠像です。
💪 ズシ:努力の象徴
ズシは才能では劣りますが、努力と真摯さで念能力を習得してきました。
ゴンとキルアのような天才ではないからこそ、ズシの成長は見ていて応援したくなります。「才能がすべてではない」というメッセージを体現するキャラクターです。
また、ズシの礼儀正しさと真面目さは、暗殺者として育ったキルアにとって新鮮で、キルアもズシの姿勢から学ぶものがあったはずです。
⭐ 押忍! ズシの「押忍!」が可愛すぎて、つい応援したくなる。地道な努力こそが、最強の才能なのかもしれません。
🃏 ヒソカ:育成を楽しむ戦闘狂
ヒソカはこの編で、ゴンの成長を確認しに来ます。
天空闘技場で戦うヒソカは、念能力を習得したゴンと戦い、その成長を喜びます。しかし、まだまだ自分の相手にはならないと判断し、「もっと育つまで待つ」という結論に至ります。
ヒソカの歪んだ愛情表現は、この編でも健在です。ゴンを育てることを楽しみ、いつか本気で戦える日を待ち望んでいます。
😱 狂気の愛: ヒソカの「育成」への執念。ゴンが強くなればなるほど、ヒソカの興奮も増していきます。この関係性、完全に異常です。
考察・伏線ポイント
念能力の6系統と水見式
この編で初めて登場する「水見式」という念能力の系統判別方法。
コップの水に葉っぱを浮かべ、念能力を込めると、それぞれの系統で異なる反応が起こります:
- 強化系:水の量が増える(ゴン)
- 変化系:水の味が変わる(キルア)
- 放出系:水の色が変わる
- 操作系:葉が動く
- 具現化系:水に不純物が現れる
- 特質系:その他の変化
この設定は、後の全ての能力バトルの基礎となります。
ゴンの「ジャジャン拳」の原型
この編では、ゴンはまだ「発」を習得していません。しかし、念能力の修行を通じて、ゴンの能力の原型が見え始めます。
強化系のゴンは、オーラを拳に集中させる技術を習得します。これが後のグリードアイランド編で完成する「ジャジャン拳」の原型です。
キルアの電気体質
キルアは幼少期から電気による拷問訓練を受けており、電気に対する耐性があります。これは後に、キルアの念能力「電光石火」として開花します。
この編ではまだその片鱗は見えませんが、キルアの変化系という系統が、電気を操る能力と相性が良いことが後に明かされます。
ヒソカの能力「伸縮自在の愛(バンジーガム)」
ヒソカの念能力が初めて明かされるのがこの編です。
ゴムとガムの性質を持つオーラを操る変化系能力。この能力は、後のヨークシンシティ編やグリードアイランド編でも重要な役割を果たします。
ウイングの師匠ビスケ
ウイングの師匠として名前が出る「ビスケ」。この時点では登場しませんが、後のグリードアイランド編で重要な役割を果たします。
他の編との比較
天空闘技場編は、HUNTER×HUNTERの中でも「修行編」としての位置づけです。
ハンター試験編やゾルディック家編のような緊張感や危機感は少なく、比較的平和な雰囲気の中で、ゴンとキルアが念能力を習得していきます。
しかし、この「平和な修行編」こそが、後の激しいバトル編への重要な布石となっています。念能力という設定を丁寧に説明し、読者に理解させることで、後のヨークシンシティ編やキメラアント編での複雑な能力バトルが楽しめるようになります。
個人的には、HUNTER×HUNTERの中でも特に「設定の緻密さ」が光る編だと思います。念能力というファンタジー要素を、論理的で納得できる形で導入したことが、この作品の大きな魅力の一つです。
こんな人におすすめ:
- 念能力システムをしっかり理解したい人
- 修行や成長過程を見るのが好きな人
- ゴンとキルアの友情をもっと見たい人
- 設定が緻密な作品が好きな人
天空闘技場編を読むなら
天空闘技場編は以下の巻に収録されています。
まとめ
天空闘技場編は、HUNTER×HUNTERという作品の転換点でした。
念能力という概念の登場により、作品の世界観は一気に広がり、後の複雑な能力バトルの基礎が築かれました。ウイング師匠との出会い、ゴンとキルアの修行、そしてヒソカとの再戦。全てが後の物語への重要な布石となっています。
特に、念能力の体系の緻密さは素晴らしいです。単なる超能力ではなく、論理的で納得できる設定になっている。だからこそ、後の能力バトルが面白いのです。
ゴンとキルアの才能の違いや、ズシの努力の姿も印象的でした。天才と努力、どちらも大切。このバランス感覚が、HUNTER×HUNTERという作品の魅力の一つだと思います。
次のヨークシンシティ編では、クラピカが主役となり、幻影旅団との激しい戦いが描かれます。念能力を理解した上で読むと、さらに面白さが増しますよ!
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